七十二候

七十二候
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七十二候とは

二十四節気は、田植えや種蒔きをする季節の基準…つまり人々の生活の目安とされてきました。しかし、二十四節気は十五日単位のため生活の目安とするには少々長すぎました。そこでより具体的な気候の変化を知らせるために、一節気を三等分した七十二候が作られたというわけです。

七十二候には、具体的に気象や動植物の変化を示しました。つまり自然観察から生まれたもので、最初は一節気ごとに項目が多い時と少ない時があったり、内容が重なっていたりと混沌としたものでした。

北魏の「正光暦」(523年)になって、各節気に三候ずつ配置されることとなりましたが、その頃は古代からの迷信や陰陽五行説の影響力が強かったので、「もぐらがうずらに変わる」や「腐った草が蛍になる」など、実際の自然観察だけでなく思想なども反映されていました。

日本でも季節の移ろいを詳しく知らせてくれるものとして、江戸時代の初め頃まで古代中国で作られた七十二候をそのまま使っていました。

しかし発祥が古代中国の黄河流域ということもあり、日本の気候や風物と当てはまらなかったり、迷信など理解しがたい観念に基づいたものもあったため、貞享改暦(1684年)の際に渋川春海が日本の実情に合わせてアレンジした「本朝七十二候(新制七十二候)」を発表したのです。

さらに明治改暦の際にも大幅に改定され、明治7年(1874年)の官暦から掲載されたものが、現代における二十四節気・七十二候ということになります。

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七十二候一覧

「立春」の七十二候

初候 東風解凍 はるかぜこおりをとく 2月4日(頃)
次候 黄鴬睍睆 うぐいすなく 2月9日(頃)
末候 魚上氷 うおこおりをいずる 2月14日(頃)

「雨水」の七十二候

初候 土脉潤起 つちのしょううるおいおこる 2月18日(頃)
次候 霞始靆 かすみはじめてたなびく 2月23日(頃)
末候 草木萌動 そうもくめばえいずる 2月28日(頃)

「啓蟄」の七十二候

初候 蟄虫啓戸 すごもりのむしとをひらく 3月5日(頃)
次候 桃始笑 ももはじめてさく 3月10日(頃)
末候 菜虫化蝶 なむしちょうとなる 3月15日(頃)

「春分」の七十二候

初候 雀始巣 すずめはじめてすくう 3月20日(頃)
次候 桜始開 さくらはじめてひらく 3月25日(頃)
末候 雷乃発声 かみなりすなわちこえをはっす 3月30日(頃)

「清明」の七十二候

初候 玄鳥至 つばめきたる 4月5日(頃)
次候 鴻雁北 こうがんかえる 4月10日(頃)
末候 虹始見 にじはじめてあらわる 4月15日(頃)

「穀雨」の七十二候

初候 葭始生 あしはじめてしょうず 4月20日(頃)
次候 霜止出苗 しもやみてなえいずる 4月25日(頃)
末候 牡丹華 ぼたんはなさく 4月30日(頃)

「立夏」の七十二候

初候 蛙始鳴 かわずはじめてなく 5月5日(頃)
次候 蚯蚓出 みみずいずる 5月10日(頃)
末候 竹笋生 たけのこしょうず 5月15日(頃)

「小満」の七十二候

初候 蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ 5月21日(頃)
次候 紅花栄 べにばなさかう 5月26日(頃)
末候 麦秋至 むぎのときいたる 5月31日(頃)

「芒種」の七十二候

初候 蟷螂生 かまきりしょうず 6月5日(頃)
次候 腐草為螢 くされたるくさほたるとなる 6月10日(頃)
末候 梅子黄 うめのみきばむ 6月15日(頃)

「夏至」の七十二候

初候 乃東枯 なつかれくさかるる 6月21日(頃)
次候 菖蒲華 あやめはなさく 6月26日(頃)
末候 半夏生 はんげしょうず 7月1日(頃)

「小暑」の七十二候

初候 温風至 あつかぜいたる 7月7日(頃)
次候 蓮始開 はすはじめてひらく 7月12日(頃)
末候 鷹乃学習 たかすなわちがくしゅうす 7月17日(頃)

「大暑」の七十二候

初候 桐始結花 きりはじめてはなをむすぶ 7月23日(頃)
次候 土潤溽暑 つちうるおうてむしあつし 7月28日(頃)
末候 大雨時行 たいうときどきふる 8月2日(頃)

「立秋」の七十二候

初候 涼風至 すずかぜいたる 8月7日(頃)
次候 寒蝉鳴 ひぐらしなく 8月12日(頃)
末候 蒙霧升降 ふかききりまとう 8月17日(頃)

「処暑」の七十二候

初候 綿柎開 わたのはなしべひらく 8月23日(頃)
次候 天地始粛 てんちはじめてさむし 8月28日(頃)
末候 禾乃登 こくものすなわちみのる 9月2日(頃)

「白露」の七十二候

初候 草露白 くさのつゆしろし 9月7日(頃)
次候 鶺鴒鳴 せきれいなく 9月12日(頃)
末候 玄鳥去 つばめさる 9月17日(頃)

「秋分」の七十二候

初候 雷乃収声 かみなりすなわちこえをおさむ 9月23日(頃)
次候 蟄虫坏戸 むしかくれてとをふさぐ 9月28日(頃)
末候 水始涸 みずはじめてかるる 10月3日(頃)

「寒露」の七十二候

初候 鴻雁来 こうがんきたる 10月8日(頃)
次候 菊花開 きくのはなひらく 10月13日(頃)
末候 蟋蟀在戸 きりぎりすとにあり 10月18日(頃)

「霜降」の七十二候

初候 霜始降 しもはじめてふる 10月23日(頃)
次候 霎時施 こさめときどきふる 10月28日(頃)
末候 楓蔦黄 もみじつたきばむ 11月2日(頃)

「立冬」の七十二候

初候 山茶始開 つばきはじめてひらく 11月7日(頃)
次候 地始凍 ちはじめてこおる 11月12日(頃)
末候 金盞香 きんせんかさく 11月17日(頃)

「小雪」の七十二候

初候 虹蔵不見 にじかくれてみえず 11月22日(頃)
次候 朔風払葉 きたかぜこのはをはらう 11月27日(頃)
末候 橘始黄 たちばなはじめてきばむ 12月2日(頃)

「大雪」の七十二候

初候 閉塞成冬 そらさむくふゆとなる 12月7日(頃)
次候 熊蟄穴 くまあなにこもる 12月12日(頃)
末候 鱖魚群 さけのうおむらがる 12月17日(頃)

「冬至」の七十二候

初候 乃東生 なつかれくさしょうず 12月22日(頃)
次候 麋角解 さわしかのつのおつる 12月27日(頃)
末候 雪下出麦 ゆきわたりてむぎのびる 1月1日(頃)

「小寒」の七十二候

初候 芹乃栄 せりすなわちさかう 1月5日(頃)
次候 水泉動 しみずあたたかをふくむ 1月10日(頃)
末候 雉始雊 きじはじめてなく 1月15日(頃)

「大寒」の七十二候

初候 款冬華 ふきのはなさく 1月20日(頃)
次候 水沢腹堅 さわみずこおりつめる 1月25日(頃)
末候 鶏始乳 にわとりはじめてとやにつく 1月30日(頃)

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