冬至(とうじ)
- 12月22日頃
- 黄経270度
一年でいちばん日が短く、夜が長い日。冬至は冬の真ん中で、この日を境にまた昼が長くなっていく。ローマ時代以前の暦では、最も日が短い冬至を一年の区切りや初めと定めていた。
太陽が復活し始める日ということで、冬至のことを「一陽来復」とも言う。転じて「悪いことが続いたあと、物事が良い方向へ向かう」という意味でも使われる。ちなみに、冬至に欠かせない「柚子」は太陽を意味していて、太陽の気を補うものとされていた説もある。
冬至の七十二候
初候:乃東生
【時期】12月22日~26日頃
【読み】なつかれくさしょうず
【意味】ウツボグサ(夏枯草)が芽を出す
「乃東枯」の「乃東」とは、ウツボグサや夏枯草の別名です。
様々な植物が枯れる冬に緑の芽を出し、夏の初めに淡紫色の花を穂状に咲かせます。夏至の頃には花穂が茶色~黒っぽく変色して、枯れたように見えることから「夏枯草」とも呼ばれます。
夏至の七十二候・初候「乃東枯」と対になっています。
次候:麋角解
【時期】12月27日~31日頃
【読み】さわしかのつのおつる
【意味】サワシカの角が落ちる
サワシカとは、大型の鹿(ヘラジカの類)のことと解釈されていますが、日本にはこの時期にツノを落とす動物がいません。ニホンジカの角が落ちるのは春先です。この七十二候「麋角解」は、本町七十二候で変更されていないので、古代中国でつくられたものです。
冬にツノを落とす大型の鹿といえばヘラジカです。オスには最大で2mを超えることもある巨大なツノがあります。ヘラジカのツノは春の終わりから初夏にかけて成長します。成長中のツノは「ベルベット」といわれる羽毛のような毛に覆われていますが、成長を終えると抜け落ち、秋の初めには骨がむき出しのツノが完成します。ツノは冬には抜け落ち、また春に再生するのを繰り返します。
しかしヘラジカの生息地は北アメリカ大陸、北ヨーロッパ、ユーラシア大陸の北部あたりなので、七十二候の発祥である古代中国の黄河流域にはいません。
そのため、トナカイ(オスメスともにツノを持ち、一年に一回生え変わる)や、中国名で「ミールー(麋鹿)」といわれる「シフゾウ(四不像)」ではないかとも言われています。
シフゾウは偶蹄目シカ科シフゾウ属に属する大型のシカです。「四不像」と書き「角がシカ、首がラクダ、蹄がウシ、尾がロバに似ているが、そのどれでもない」という意味があります。中国で一度は絶滅したと思われていた動物で、伝説の珍獣とされたり、物語の中では神獣として登場します。
七十二候は日本の風土に合わせて改編されましたが、この「麋角解」は古代中国でつくられたときのまま残されています。謎の多い七十二候ですが、シカは、日本の信仰において神の使いとされ神聖視されてきたことや、冬至を「陽の気が回復する起点」とされていたことを考えると、「シカの角が落ちて生え変わる」という事象を「冬至という区切り」に重ねたのではないかという気もします。
ちなみにカモシカはウシ科の哺乳類で、ツノは生え変わりません。
末候:雪下出麦
【時期】1月1日~4日頃
【読み】ゆきわたりてむぎのびる
【意味】雪の下で麦が芽を出す
秋に種を蒔いた麦が、雪の下で芽をだすころです。雪や霜への耐性をつけるために、冬の間になんどか「麦踏み」がおこなわれます。麦の苗を踏んで茎を痛めつけることで、水分を吸い上げる力が弱まり、寒さや乾燥に強くなるそうです。 また霜で根が浮きあがるのを防いで根張りをよくする効果があるとされます。