処暑

二十四節気【処暑】
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処暑(しょしょ)

  • 8月23日頃
  • 黄経150度

夏の暑さが峠を越して、朝夕に涼しさを感じ始める頃。

「処」には「止まる、留まる」という意味があり、夏の暑さもピークを越え8月下旬にかけて平均気温が少しずつ下がっていく。江戸時代に発行された暦の解説書『暦便覧』では「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」つまり「暑さが収まりつつある」と説明されている。

初秋は穀物が実り始める頃とされるが、日本に接近する台風が増えてくる時期でもあり、雑節の「二百十日」や「二百二十日」と同じように台風被害への備えが喚起される。

※『暦便覧』…江戸時代の中期から後期の常陸国宍戸藩5代藩主 松平頼救(太玄斎)が記した暦についての解説書。

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処暑の七十二候

初候:綿柎開

【時期】8月23日~27日頃

【読み】わたのはなしべひらく

【意味】綿の「ハナシベ(ガク)」が開く

処暑初候

「ハナシベ(柎)」とは花の「ガク(萼)」のことです。綿は花を咲かせてしぼんだあと実をつけますが、ひと月ほどすると褐色になり、はじけるように割れて中から種を包んだ白い綿毛わたげがあらわれます。このふわふわの綿毛は「コットンボール」とも呼ばれ、紡ぐと木綿の布や糸になります。

また繊維のほかに、綿の種子からは、食用油として使われる「綿実油めんじつゆ」が採れます。

「綿」は、植物名としては「ワタ」、製品になると「メン」と呼ばれます。

次候:天地始粛

【時期】8月28日~9月1日頃

【読み】てんちはじめてさむし

【意味】天地の暑さが収まる

処暑次候

「粛」は「縮む、しずまる、弱まる」という意味があります。日中はまだまだ暑いものの、朝夕などは気温が下がり始めます。天気図にも秋雨前線が現われ、秋の気配が感じられるようになるころです。

末候:禾乃登

【時期】9月2日~7日頃

【読み】こくものすなわちみのる

【意味】稲などの穀物が実る

処暑末候

「禾」とは稲・麦・稗・粟などの穀物を総称した言葉で、「いね」や「のぎ」とも読みます。穀物が実り熟していく頃で、稲穂は膨らんで黄金に色づき始め、早いところでは稲刈りが始まります。

秋雨前線が北から現れるようになり、これが停滞すると長雨となります。同時に南や東からは台風が到来するシーズンで、タイミングが合ってしまうと被害の出るような大雨となることもあります。

農作物に甚大な影響を与えるだけでなく、漁師にとっても生死にかかわるため、大雨や台風を警戒し備える日として、江戸時代に雑節「二百十日」「二百二十日」がつくられました。

八朔はっさく」(旧暦8月1日・新暦では8月25日頃~9月23日頃のいずれか)、「二百十日」(9月1日頃)、「二百二十日」(9月11日頃)は、台風の多い日または風の強い日ということで「農家の三大厄日」とされ、風を鎮めるための風祭りを行って収穫の無事を祈るようになりました。

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